着物に下着ってあるんですか?パンティ履いていい?着物の下に着るモノがよく分からない件を解決します。

着物初心者さんにとって着物の下着って謎じゃありませんか?
今回は、そんな疑問をまるっと解決しますよ!

とりあえず、着物の下には何を着ればいい?

肌襦袢&腰巻→襦袢(→着物)
の順に重ね着をするのが標準的な着物の下着です。
襦袢は着物とセットになっている必要があるので、レンタルなどでは基本的に着物と襦袢のセットになっています。肌着と腰巻など、肌に直に触れる下着はレンタルなどでも買取か自分で用意することが多いようです。
ブラ&パンティについては、多くの方がパンティは普通に履いてます。
ワイヤーの入った通常のブラジャーは襟が乱れるという着崩れの原因になるので付けない方がおすすめです。スポーツブラなどは、着ても大丈夫ですが、着付けによっては、下着が見えてしまう場合もあるので、着付けをしてくれる方に相談しましょう。
肌襦袢と腰巻のセット
襦袢とは例えばこれ
では、さらに深く着物の下着について考えてみましょう。

着物の下着の仕組み

なぜ着物の下着が理解しにくいかということを考えてみると、現代の洋服用の下着とは役割と仕組みが違うからではないかと思われます。
現在は洗濯機のお陰で、下着から洋服まで全部じゃぶじゃぶ洗うことができます。
全自動の洗濯機の発明は1950年代、その普及にはさらに時間を要しますが、これによって洗濯という重労働から解放されなんでもかんでも洗うようになったのです。でも、着物は、今も、洗濯機のなかった頃の仕組みのままなのです!
つまり、洗濯は大変だから、なるべく重ね着をして、上に着る物はあまり洗わない。
今も、コートやジャケットは毎回は洗いませんよね?
絹でできていて洗濯しにくい着物は、洗濯の視点からは、現在のコートと同じ位置付けと考えてみてください。
重ね着の順番は上から
着物
襦袢
肌着・腰巻
(キャミソール・パンティ)
というふうになっていて、肌着・腰巻のみを頻繁に洗います。
ちなみに腰巻の下にふつうのパンティを履く方がほとんどです。
肌着の下にキャミソールを着る方もいらっしゃいますが、こちらは様々にその人のお好みで着たり着なかったりしています。
では襦袢からみてみましょう。

襦袢とは?

襦袢は魅せ下着

襦袢は着物のすぐ下に着ます。着物を汚さないようにするための重ね着の機能のためです。
基本の機能はただ、着物を汚れから守るためだったのですが、それだけではありません。襦袢は動くと、袖や裾から(セクシー!)チラ見えするのです。
袖から見える襦袢の写真
一方夏物となると、襦袢は帯で隠れている部分以外は全部見えちゃうのです!
こんな風に!
だからこそ、襦袢はきれいな柄を着て隠れたおしゃれを楽しむかたも多いです。

襟を支える布

もう一つ襦袢には大切な役割があります。
襟というのは、どうしても肌に触れるため、洋服でも一番汚れる部位ですよね?
着物をできるだけ汚さないようにするため、着物の襟は着物とは別の部品になっています。
襟をつけておくのが襦袢なのです。

襦袢の種類

襦袢にはまず長襦袢二部式襦袢があります。
どちらも着物のすぐ下に着て、首に当たる襟がついています。長襦袢と二部式襦袢のどちらが正式というものではないです。江戸時代の昔から両方あるそうです。
一枚に仕立てられているのが長襦袢、
上下に分かれていてそれぞれを紐で着るのが二部式です。
長襦袢は紐の数を減らせるし脱ぐ時もしゅるんと脱げます。
一方二部式はシッカリ着られて着崩れしにくい。日本舞踊とか歌舞伎の踊りの衣装は二部式を使っています。
また二部式の方が身長に合わせて長さを調整しやすいのです。

襦袢の素材と仕立て方法・季節

素材

襦袢の素材としては、絹・麻・化繊のものがあります。
時たま古着で木綿の襦袢も見かけますが私は着たことがないのでよくわからないのです。
(どなたかご愛用の方がいらっしゃればお話をお聞かせください。)
絹の襦袢は暖かく、やはり手触りがいいですね。静電気が起きにくいこともメリットです。
ですが、値段も高く洗濯もしにくい。
麻の襦袢はしわくちゃになりやすいことがデメリットですが、涼しくて夏場は非常に快適です。
化繊の襦袢は、洗濯のしやすさとお値段の安さから今一番人気があるかもしれません。
また、夏用は絽の生地を使います。

仕立て方

襦袢のお仕立て方法にも着物と同じように、袷と単衣があります。
着物ルール信仰の方は襦袢の着る季節にも厳格な方もいらっしゃるようです。
しかし、着物はともかくとしても、襦袢はお好みにあわせてお好きなものを選ばれたら良いのではないかと思います。
ただ夏物だけは透けちゃうので、襦袢を袷や単衣にしちゃうとコーディネートとしてチグハグ感は感じると思います。
両方夏物にしないとほんんんとっ暑いですよ、実際…。
襦袢も絹のものはお高いですし、お手入れも面倒。最近は化繊の二部式を着ておられる方も多いなぁと思います。洋服でもそうですが、下着のおしゃれというのは、やはり、贅沢ですから。

襦袢のまとめ

まとめると、
襦袢には、
素材には、絹・麻・化繊などがあり、
仕立てかたには袷・単衣仕立てがあり、
には長襦袢と二部式があります。
ややこしいですね。でも、着物もファッションの一つなので、バリエーションが豊かになるのも仕方ないところです。

着物とサイズを合わせるというハードル

襦袢には、もう一つ大きな課題があります。
着物と襦袢の裄(背中の真ん中から袖口までの長さ。つまり腕の長さに合わせて決められた長さのこと)と袖が揃ってないと下着である襦袢がチラ見せじゃなくてモロ見せになってしまうということです。

果して襦袢は必須なのか?

最近は着物を自由に着る方も増えてきました。
襦袢を着ないで、Tシャツなどの上に重ね着して楽しんでいらっしゃるかたもいらっしゃいます。
可愛い!
私自身はこのようなスタイルにチャレンジしてみたことがないのです。
でも可愛いのでいつかやってみたいと思っています。

肌襦袢・腰巻とは?

さて、いよいよ人目に触れない、かつ直接肌に触れるもののご紹介です。
現在これに関しては無限のバリエーションがあると言ってもいいくらい色々なものがあってびっくりします。
一番トラディショナルなタイプをまずはご紹介します。
肌襦袢
肌襦袢は上半身素肌に着ます。衣紋(首の後ろに作る空間のこと)からみえないようにゆったり着るのがコツです。洋服でいうとキャミソールみたいなものです。
腰巻
腰巻は巻きスカートのように腰回りに巻きつけて使用します。
洋服に慣れていらっしゃる方はウエストで紐を結ぶことのほうが気持ち良いのかもしれませんが、ウエストで結ぶと結構苦しいので腰骨の少し上のくびれのあたりで少し緩めに結ぶと腰骨に引っかかってとまるのでとても楽です。
洋服のスリップみたいな感じですかね。ところが、この腰巻、別の言い方があるんですよ。
裾除け・腰巻・蹴出し
この三つの単語は、同じものを指します
(じゃ、どうして言い方がこんなにあるのってことなんですが。。。)
また、同じ下半身に着る下着として東スカートというのがあります。使い方は腰巻と同じです。
これは、たくさん布を使って、絶対足が見えないように工夫してあるもので、特に日本舞踊で使われるものですが、どんなに動いても、ガバッと足が見えないので、普段から愛用していらっしゃる方もいます。

二部式襦袢の下と腰巻の違いとは?

初心者さんが、実物を見てしばしば混乱するのは、
・腰巻
・二部式襦袢の下
の違いです。
形がほぼ同じだし、使い方も腰に巻くものです。肌に触る部分に使うか、少し見える着物のすぐ下に着るかという違いしかありません。
ですから、腰巻の場合は、薄地の白い生地でできているものが多く、二部式の襦袢の下は厚手のポリエステルなどでできている事が多いのです。ですが、まるでそっくりの場合もあります。
困った時の解決策としては以下の通りです。
腰巻は見えないので心配しないで着てしまいましょう。襦袢として使いたい場合は、二部式襦袢の上部分の袖の素材と同じ素材、似た素材ならば問題ありません。
さてここまでがトラディショナルな着物下着です。

パンティ・キャミソール・ブラジャー

パンティ

腰巻の下は、昔は何も履かないか、湯文字という短めの布を巻いていたそうです。
現在は湯文字を使っている人はほとんどいないと思います。
そして、パンティを履いている方がほとんどだと思います。ただ、着物ってすごーくしっかりパンティのラインが出ちゃうのです。ラインが気にならない下着にしておいた方が安心です。

キャミソール

キャミソールも肌着の下に着られるかたがいらっしゃるようです。
これも背中にラインが出てしまうこともあるので注意が必要です。

ブラジャー

ブラジャーはかえって着物を着崩れしやすくする(胸元が開きやすくなってしまいます)ので、通例は普通のブラジャーは着物の時は使いません。
着物用のブラジャーも開発されています。
しかし、なしできる方が多いと思います。ただ、あまり胸が大きいと胸元が着崩れしやすいので、Eカプ以上の方は使った方が良いと思われます。
以上
思いのほか長くなったけど、着物の下着のすべて、でした!